○ふるさとの薬━百草(ひゃくそう)
「御嶽山のほうから帰る人達は、お百草といふ薬をよく土産に持って来ました。お百草は、あの高い山の上で採れるいろいろな草の根から製した練薬で、それを竹の皮の上に延べてあるのです。苦い苦い薬でしたが、お腹の痛い時などにそれを飲むとすぐなほりました。お薬はあんな高い山の中にも蔵ってあるのですね。」
島崎藤村の童話「ふるさと…百草」にも登場するほど民間に広く普及した胃腸薬の百草。名前に「お」を付けて呼ばれるほどに尊い薬です。「百草」のふるさとは、信州は木曽の霊峰御嶽山(おんたけさん)麓。草深い信州のこの一帯は、古くから薬草が豊富に自生する薬草の宝庫でした。


会社全景

○ 黄檗(オウバク)
  「百草」の主成分であるオウバクはミカン科の落葉高木「キハダ」の内皮のことで、主成分はベルベリンです。「キハダ」は遠く遡った縄文時代の遺跡からも発掘され、縄文人の胃腸薬としての利用が確認されています。このオウバクを煮詰めて作るオウバクエキス薬は、関西では「陀羅尼助」、関東では「百草」または「練り熊」、「熊の胆」等の名で知られ、健胃・整腸・食あたり・下痢などに顕著な効果が認められています。

○ 百草の起源
  霊峰御嶽山(標高3067m)は平安時代より山岳修験者の霊場であり、女性や一般人の登拝は固く禁じられていました。江戸時代の天明年間(1780年)に尾張国の覚明行者と武蔵国の普寛行者の尽力により、登山道が整備され、同時に女性や一般人の登拝も可能になりました。また覚明、普寛両行者はその時登山道の開削を手伝ったむらびとにその製法を伝授したのが霊薬「百草」の起源と言われています。その後「百草」は、山岳信仰の御嶽山信仰(御嶽教)と結びつき夏山、寒山と年二回の登拝をするために全国から集まる修験者、信者によって、霊薬として全国に広まることとなりました。

○ 御岳百草丸(おんたけひゃくそうがん)
  前述の百草に4種類の生薬を配合し、丸薬として昭和13年に発売したのが苦味健胃薬の「御岳百草丸」です。粒の直径は約4ミリで黒色。光沢があり口に含むと苦いです。配合生薬の「ゲンノショウコ」は民間薬の代表的生薬で、地上部を開花直前に採集し乾燥したもので、主に止瀉、整腸に用いられてきました。主成分はタンニンで、腸の炎症部に皮膜をつくり保護する働きがあります。「ビャクジュツ」はオケラの根茎を乾燥したもので、古来より水毒を去るといわれ、消化管などの水分代謝の不全に対して利尿、発汗作用や、健胃、整腸に優れた効果を発揮します。「センブリ」は古くから伝わる民間薬で、開花期に全草を乾燥したもので、苦味健胃、腹痛、皮膚寄生虫の駆除など、また染料としても広く用いられてきました。「コウボク」は古来より漢方に繁用される生薬のひとつで、本州各地の山林に自生するホウノキの樹皮を乾燥したものです。胃の痛みを鎮める作用があります。   

○ 百草3兄弟
  天明年間から作られている「御嶽百草」、昭和初期に製造された「御岳百草丸」、昭和57年に開発された「御岳百草顆粒」、この3種類の胃腸薬を総称して社員は「百草3兄弟」と呼んでいます。「御嶽百草」は下痢、食あたり、水あたり、軟便に効果があります。「御岳百草丸」は食べ過ぎ、飲み過ぎ、消化不良、胃弱に効果があります。「御岳百草顆粒」は胃酸過多、胸やけ、胃痛、二日酔いに優れた効果を発揮します。

○ 工場見学

  弊社の工場は大自然の山ふところに抱かれた標高808mの高地にあります。民謡の「木曽節」で「夏でも寒〜い」と謡われる程に冷涼な気候です。すぐ脇には木曽川の支流の王滝川が流れ、四季折々の景色が楽しめます。工場見学はオウバクエキスの抽出工程から始まり製丸工程、包装工程の順にご覧いただき最後は御嶽山周辺の薬用植物の写真や押し花の展示を見て終わりになります。見学時間は午前9時から午後4時の間で、冬季を除き土日休日も見学可能です。また個人から団体まで無料で見学ができますが団体の場合は予約を頂ければ幸いです。見学者には「ちょっぴりプレゼント」があります。また運が良ければ野猿の群れやカモシカ、ツキノワグマとも出会えます。弊社へのアクセスは長野県製薬のホームページをご覧下さい。