冬の薬草・薬木

薬草|ビワ  ナンテン  ツワブキ

■ 冬の薬草 ツワブキ:キク科   生薬名:槖吾(タクゴ)

ツワブキ(石蕗)は本州中南部から九州にかけての海岸沿いに分布する常緑の多年生草本です。葉がフキに似て艶があるので「艶蕗」、あるいは葉に厚みがあるので「厚葉蕗」からこの名が起こったとも言われています。
晩秋から冬にかけて、60センチほどの花茎を伸ばし、菊に似た一重の黄金色の花をつけます。花も葉も鑑賞に堪える美しさがあり、庭によく植えられたりします。

葉や根茎には、ヘキセナールという成分が含んでいて、強い抗菌作用があります。民間薬として、葉を火にあぶってから細かく刻んで打撲、湿疹、火傷、切り傷などに外用として用います。生汁を用いても同様の効果があります。
また、魚の中毒には乾燥した根茎を煎じて飲むか葉の青汁を飲んでも効果があるとされています。

フキと同じように若い葉柄は食用となります。春先に柔らかい葉柄を採り、灰汁抜きしてから皮をむいて食します。

つわぶきの広がり寒う海が見え 三宅冬子

■ 冬の薬草 ナンテン:メギ科   生薬名:南天実(ナンテンジツ)

ナンテンの名は中国名の南天竹からきたもので、中国から薬用、観賞用として伝えられ栽培されていたものが、種子が鳥によって散布され、今では東海から近畿以西の本州、四国、九州の温かい山地に自生しています。
秋から冬にかけて熟した果実を採集し、よく乾燥したものを南天実といい、咳止めの生薬として、漢方薬やのど飴の原料として用います。
実には赤実と白実があり、シロミナンテンの方が効き目がよいと俗に言われていますが、効き目に差はありません。

生薬の枇杷葉は、青々とした新鮮な葉の表面の柔毛をタワシなどで取り除き、水洗いして乾燥したものです。
祝い事で「赤飯」を配る時、その上にナンテンの葉を置く風習がありますが、これは「難を転じる」意味と、「ナンテンの葉が毒を消すので食中毒の心配はない」との意味があるとされています。
この事には化学的な証明がされています。ナンテン葉に含まれるナンジニンという成分が、熱い赤飯の上に乗せられると、解毒作用のある微量のチアン水素が発生し、赤飯を腐敗から守る働きをするからです。

ナンテンは実のほかに、葉は南天竹葉といい、南天実と同様の効き目があるとされています。茎は咳止めや強壮薬に、根は頭痛、筋肉痛などの痛み止めとして用います。

■ 冬の薬草 ビワ:バラ科ビワ属   生薬名:枇杷葉(ビワヨウ)

ビワはインドから中国の南部にかけてが原産地です。3000年前から仏教医学の中にビワの葉療法が取り入れられ、多くの治療に用いられてきました。

日本においては、江戸時代に「枇杷葉湯」として、夏の暑気払いに盛んに愛飲されました。 てんびん棒を肩に、「本家烏丸の枇杷葉湯、第一暑気払いと霍乱(急性下痢)、毎年五月節句よりご披露つかまつります」と口上を述べながら売り歩くさまは、大江戸や京浪花の夏の風物詩だったようです。
「枇杷葉湯」はビワの葉に肉桂、藿香、莪述、呉茱萸、木香、甘草などの気を巡らす生薬を同量混ぜて煎じたものです。

生薬の枇杷葉は、青々とした新鮮な葉の表面の柔毛をタワシなどで取り除き、水洗いして乾燥したものです。
有効成分として、ガン治療薬のアミグダリン(ビタミンB17)、精油、サポニン、ビタミンB1,ブドウ糖、クエン酸などを含み、酸性の血液を弱アルカリ性血液に変え、自然治癒力を促進する作用があるとされ、咳止め、暑気あたり、胃腸病、高血圧、糖尿病、リウマチなどに用いられています。

外用では、ビワ葉を火であぶるとビワ葉中のアミグダリンとエルムシンが反応して微量の青酸が発生し、それが皮膚から吸収され、多くの効果が発揮すると考えられています。
皮膚炎、やけど、水虫、ねんざにはアルコールエキスを塗布します。
ビワの果実はホワイトリカーに漬け、ビワ酒として疲労回復や食欲増進に飲まれています。