家庭薬の昔 日々進歩する家庭薬の昔をお伝えします!

季節の生薬について

生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。

秋の薬草 オケラ:キク科生薬名:白朮(ビャクジュツ)

  • 秋の薬草 オケラ:キク科

オケラは本州、四国、九州及び中国東北部の南部、朝鮮半島に分布し、日当たりのよい山野に自生する多年草です。9~10月にかけて、枝の先端に白頭状花を咲かせます。 京都の八坂神社には大晦日(おおみそか)から元日の朝にかけて神前に供えた削掛(ヌルデやニワトコなどの木片を薄く削って花のようにした祭具)と薬草のオケラを焚いて邪気を払い、参拝者はこの朮火(おけらび)を吉兆縄に移して、消えないようにクルクル回しながら持ち帰り、元日の雑煮をにたり、神棚や仏壇の灯明に移し、一年の息災を願う行事があります。 また、精油を含んでいることで、梅雨時に燻してカビとりにも用いられてきました。食用としては「山でうまいはオケラにトトキ、里でうまいはウリ、ナスビ」と謳われ、春の若芽は絶品の山菜です。 漢方で用いられる白朮は、このオケラと中国のオオバナオケラの根茎で、利水作用や健胃を目的に使用されます。 万葉には、ウケラ(古名)として三首、東歌として詠まれています。これらは忍ぶ恋歌で、オケラの花の物静かな風情によく似合っています。 恋しけば袖も振らむを武蔵野の
うけらが花の色に出(づ)なゆめ

我背子を何(あ)どかもいはむ武蔵野の
うけらが花の時無きものを