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季節の生薬について

生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。

夏の薬草 ウイキョウ:セリ科生薬名:茴香(ウイキョウ)

  • 夏の薬草 ウイキョウ:セリ科
  • 夏の薬草 ウイキョウ:セリ科

ウイキョウ(茴香)はフェンネルとも呼ばれ、ヨーロッパ地中海沿岸を原産地とします。古代エジプトやローマでも栽培されていた歴史上古い作物の一つです。6月から8月にかけて、セリ科の特徴である複散型花序(主軸の先端から多数の果柄が散出し傘状に広がる)の黄色い小花を多くつけ、秋には7mm程度の長楕円形をした茶褐色の果実をつけます。 マラソンの語源の由来となったのは、紀元前490年にアテネ軍とペルシャ軍の戦いが繰り広げられた「マラトンの戦い」の戦場に、ウイキョウの花が一面に咲いていて、古代ギリシャ語でウイキョウを意味するマラトンという名がつけられました。
アテネ軍の一兵士がマラトン・アテネ間約40km走り通し「我ら勝てり」と伝達し息絶えた故事に乗っ取り、第1回オリンピックでは、同区間で競争が行われたのが現在に続くマラソン競技の起こりです。
茴香とは、魚肉の「香りを回復する」意があり、スパイスとして果実を粉末にし、魚肉の風味づけに使用されます。また、生薬としての茴香は、芳香性の健胃薬として、多くの処方に配合され、消化を助け、胃腸に溜まったガスの除去、消化不良、便秘、お腹の張りなどに効果的といわれています。
胃腸以外の作用として、利尿により体のむくみ、手足の浮腫を取り除きます。また、去痰剤としても用いられます。
茴香のアニスやスターアニスに似た甘い香りは、主成分の精油アネトールの香りです。茴香は別名「小茴香」と呼ばれますが、「大茴香」と呼ばれるのが、スターアニスで、別名「八角(ハッカク)」とも呼ばれています。