家庭薬の昔 日々進歩する家庭薬の昔をお伝えします!

季節の生薬について

生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。

夏の薬草 ガマ:ガマ科生薬名:蒲黄(ほおう)

  • 夏の薬草 ガマ:ガマ科 生薬名:蒲黄(ほおう) ガマ ガマ
  • 夏の薬草 ガマ:ガマ科 生薬名:蒲黄(ほおう) コガマ コガマ
  • 夏の薬草 ガマ:ガマ科 生薬名:蒲黄(ほおう) ヒメガマ ヒメガマ

日本の薬物治療の最古の記載は『古事記』の「因幡の白兎」のお話です。
ウサギがワニをだまして橋のように海の中に並ばせ、その上を渡るという悪知恵が最後にワニに気づかれて皮をはぎ取られてしまいます。
そこへ通りかかった多くの神々が、丸裸になった兎を見て、その体を治すためには潮水を浴びた後に風にあたって、高い山の頂に寝ているのが良い、と教えます。しかし、それは逆効果で、潮水が乾くにつれて、皮膚がひび割れて、ますますひどくなっていくのです。
その後にやってきた、大国主命は兎が泣いているのを見て、まず真水で体を洗って塩分を除いた後に、「蒲(がま)の花粉」を取ってまき散らし、その上に寝転がれば皮膚が治ると教え、ウサギがその通りにすると、見る間に真っ赤になった肌が癒えた、というお話です。
ガマの開花時に雄花穂の花粉を採取し日干しにしたものを蒲黄と云い、生薬として使います。
蒲黄に含まれるイソラムネチンの配糖体(フラボノイド)の血管収縮、収斂、利尿作用と脂肪油の包庇作用により止血剤として下血、吐血などに用いられます。創傷の止血には蒲黄をそのまま患部に散布します。
ガマには他に、ヒメガマ、コガマがあって、どのガマの花粉も蒲黄として使用されます。

イーバンアト研究所 所長 薬学博士
田部昌弘

田部博士の【寄り道・脱線 生薬雑話】