家庭薬の昔 日々進歩する家庭薬の昔をお伝えします!

季節の生薬について

生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。

春の薬木 ホオノキ:モクレン科生薬名:厚朴(こうぼく)

  • 春の薬木 ホオノキ:モクレン科 生薬名:厚朴(こうぼく) ホオノキ
  • 春の薬木 ホオノキ:モクレン科 生薬名:厚朴(こうぼく)シナホオノキ シナホオノキ
  • 春の薬木 ホオノキ:モクレン科 生薬名:厚朴(こうぼく)ヤハズホオノキ ヤハズホオノキ
  • 春の薬木 ホオノキ:モクレン科 生薬名:厚朴(こうぼく)朴葉味噌 朴葉味噌
  • 春の薬木 ホオノキ:モクレン科 生薬名:厚朴(こうぼく)朴葉餅 朴葉餅

ホオノキ(朴の木)は学名がMagnolia obovate(モクレン科)、日本自生の樹木の中では、最大級の葉と花をもつ高さは20~30mの高木です。
大きな葉が輪生状につき、花期は晩春から初夏、枝先に上向きに大きな花を咲かせます。

そして、ホウノキは多くの物に利用されています。
朴の葉は食材をのせて使うのにちょうどよい大きさで、比較的火に強く丈夫なことから、飛騨高山では、卓上コンロに金網を置き、朴葉を敷き、その上に味噌・茸・葱・飛騨牛などの具材を載せて食べる朴葉味噌が有名です。
また、朴葉にはカビの繁殖を抑える力があるため、この葉で包んだものはかびが生えにくく、それを利用して作られるものに朴葉餅があります。

ホオノキの材は軽軟、耐久性は低いが均一で狂いが少ないことから、彫刻材、版木、製図板、寄木細工などの細工物、仏壇、鋳物の木型、食器などに利用されていますし、材がやわらかく刃を痛めないため、日本刀の鞘として、木琴では澄んだ音色が生まれます。
安定した方向・飛距離が得られることから野球のノック用バットとして、軽軟でサイズ調整がしやすいことから、下駄の替え歯として(朴歯下駄)としても利用されています。

生薬はその樹皮をシナホオノキ Magnolia officinalis を唐厚朴、 ヤハズホオノキ M. officinalis var. biloba を凹葉厚朴、 ホオノキ M. obovate を和厚朴として使われます。

成分にアルカロイド(マグノクラリン、マグノフロリン)、マグノロール、 ホオノキオール、オイデスモールなどを含み、鎮痛、鎮咳、利尿、健胃を目的に半夏厚朴湯、柴朴湯、平胃散などの多くの漢方薬に配剤されています。

イーバンアト研究所 所長 薬学博士
田部昌弘

田部博士の【寄り道・脱線 生薬雑話】