生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。
冬の薬木 ヤドリギ:ヤドリギ科生薬名:桑寄生(そうきせい)
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ヤドリギ
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ヤドリギの実
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セイヨウヤドリギ
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セイヨウヤドリギの実
ヤドリギは万葉集にただ一首「ほよ」の名で詠まれています。
大伴家持が越中守の国主で赴任していた折、正月2日の宴の席で詠んだ歌です。
- あしひきの
山の木末のほよ取りて
挿頭しつらくは
千年寿くとそ大伴 家持
ヤドリギの仲間(ヤドリギ科)は、世界の熱帯から温帯に約7属1300種。半寄生の低木で、ケヤキ、エノキ、ブナ、ミズナラやサクラなど落葉樹の枝に生え、寄生根で固着します。
他の樹木の幹や枝に根を食い込ませて成長しますが、一方的に養分や水を奪っているわけではなく自らも光合成をおこなう半寄生です。
全体としては、宿主の枝から垂れ下がって、団塊状の株を形成し、宿主が落葉すると、この形が遠くからでも見て取れるようになります。
学名をViscum album subsp. coloratum (ヤドリギ科)といい、ヨーロッパおよび西部・南部アジアが原産で、日本では北海道から九州に分布しています。
ヤドリギはセイヨウヤドリギ(Viscum album )の亜種で、実は黄色い色をしていますが、セイヨウヤドリギは白い実をしています。学名もそのような表記となっています。
このヤドリギの枝や葉を生薬の桑寄生として用います。
血圧を下げ、利尿、頭痛の緩和、リウマチ、神経痛、婦人の胎動不安、産後の乳汁不足などを目標に漢方薬の独活寄生丸などに配合されています。
一方、セイヨウヤドリギは国外でサプリメントとして高血圧、動悸や頻脈に使用されています。
イーバンアト研究所 所長 薬学博士
田部昌弘








