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季節の生薬について

生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然物を簡単に加工して用いる薬のことを指しますが、ほとんどの生薬は薬草や薬木といった植物由来です。もちろん植物によって旬は異なるため、春夏秋冬、それぞれの季節の生薬があると言えます。ここでは季節ごとに、生薬として用いられる薬草と薬木を紹介いたします。

冬の薬木 ビワ:バラ科ビワ属生薬名:枇杷葉(ビワヨウ)

  • 冬の薬木 ビワ:バラ科ビワ属
  • 冬の薬木 ビワ:バラ科ビワ属

ビワはインドから中国の南部にかけてが原産地です。3000年前から仏教医学の中にビワの葉療法が取り入れられ、多くの治療に用いられてきました。
日本においては、江戸時代に「枇杷葉湯」として、夏の暑気払いに盛んに愛飲されました。 てんびん棒を肩に、「本家烏丸の枇杷葉湯、第一暑気払いと霍乱(急性下痢)、毎年五月節句よりご披露つかまつります」と口上を述べながら売り歩くさまは、大江戸や京浪花の夏の風物詩だったようです。
「枇杷葉湯」はビワの葉に肉桂、藿香、莪述、呉茱萸、木香、甘草などの気を巡らす生薬を同量混ぜて煎じたものです。
生薬の枇杷葉は、青々とした新鮮な葉の表面の柔毛をタワシなどで取り除き、水洗いして乾燥したものです。
有効成分として、ガン治療薬のアミグダリン(ビタミンB17)、精油、サポニン、ビタミンB1,ブドウ糖、クエン酸などを含み、酸性の血液を弱アルカリ性血液に変え、自然治癒力を促進する作用があるとされ、咳止め、暑気あたり、胃腸病、高血圧、糖尿病、リウマチなどに用いられています。
外用では、ビワ葉を火であぶるとビワ葉中のアミグダリンとエルムシンが反応して微量の青酸が発生し、それが皮膚から吸収され、多くの効果が発揮すると考えられています。
皮膚炎、やけど、水虫、ねんざにはアルコールエキスを塗布します。
ビワの果実はホワイトリカーに漬け、ビワ酒として疲労回復や食欲増進に飲まれています。