コロスキン

株式会社 東京甲子社 

 

●鞄結檮b子社のルーツ
コロスキンの出生の謎は、未だ解明されていない。なぜならば、それは、現在製造している東京甲子社の出生の不透明さに起因するからである。
会社誕生の経緯については、断片的な事象を挙げてみると以下のようになる。
・ 大正13年(1924年)、甲子の年に、東京市の卸業の中西武商店さんとメーカー数社が親睦の会を結成し「甲子会」と命名された。
・昭和12年、日中戦争の勃発で軍は多くの医薬品を必要とし、国は限られた資源の有効利用を掲げて、原料の管理、統制を開始し、翌年には薬品の原料までも配給制になったという。
・昭和16年、太平洋戦争に突入し戦争が激しさを増すに従い、物資の生産、配給の効率化を目的として、企業整備の法令が定められた。売薬業(製造業)界もこれに従わざるを得ず、売薬営業者間の合併が進められた。企業整備令が出た時に甲子会のメンバーだった田中園製薬所はじめ4社が集まり、ここに昭和18年、鞄結檮b子社が誕生した。
・昭和19年から、所在地は本社、工場とも東京市芝区三田四丁目で事業を開始した。合併当初の製造品目(指定医薬品外医薬品)は62品目にも及んだ。この62品目の中でコロスキンほか2品目は、現在に至っても継続して市場に提供できているのは大変な驚きであり、わが社の誇りでもある。
  いくつかの事象をもって会社誕生までを推考したが、どこまでが事実に沿うか、或いは更なる曲折が存在したかは、大戦による資料焼失により不明である。


(資料−1)

●「コロスキン」のルーツ
一方、「コロスキン」の名称は、横文字を併せて昭和9年に商標の出願公告が出されている。その商品の指定は『第1類の化学品、薬剤及び医療補助品』の区分であるが、この時点で商品が存在したか否か、名称が商品に先駆けて商標登録されたものかは不明である。
こちらも、手元に資料が残っていない今、出生に関しては全くの闇である。
さて、「コロスキン」の名称の由来は、「コロジオンの被膜」と解釈している。この解釈が正しければ、現在のコロスキンの形態、使用の目的にも適っている。また、この意味を持って商標登録がなされたとすれば、昭和10年前後には商品が存在したとも考えられる。
また、「殺す菌」が語源であるとして、殺菌・消毒剤がスタートではないかとの社内意見もある。いずれにしても、誕生当時の処方に関する資料が皆無のため、想像の域を出ない。
当時のコロスキンの成分は、局方酢酸エチル、ヒマシ油、カンフル、アルコール、局外硝化綿、酢酸フーゼルであり、現在のコロスキンとは防腐、殺菌剤及び一部の溶剤が異なっているが、効能項目は現在より多く、凍傷、ひびをも適応としていた。これは、今私共の手元にあるコロスキンの処方に関する最も古い資料であり、これから推察するに、「コロスキン」の名称は「コロジオン」に由来する説のほうが説得力があると言える。      
●戦後の混乱期から
・昭和20年5月25日太平洋戦争の東京空襲で、芝区の本社、工場とも焼失し、品川区北品川四丁目に移転。合併時の品目のうち11品目が、家庭薬処方整理実施要綱の存置処方及び基準処方を以って許可を得て、昭和21年には事業を継続することができた。
・昭和23年、混乱の沈静化は見えても原料、資材等の調達は困難を極めた。コロスキンにあっては、溶剤の入手が困難になり、その処方内容を変更せざるを得なくなり、既存の溶剤を減じて、ベンゾールを追加処方した。
・昭和25年4月、本社を千代田区神田旅籠町2丁目に移転。
・昭和27年、薬効の強化のため、ホモスルファミンを追加処方。当時は特売商法が年中行事化しており、この年の特売案内書(資料−1)には、景品の内容(金額)も明記されていて興味深い。商品(資料―2)は、7グラム入り、販売価格は40円であった。
・昭和32年、36年、処方成分と分量の一部変更を、平成2年には成分の名称変更(硝化綿をピロキシリンに呼称変更など)、適応症の整理を行い、現在のコロスキン(資料―3)になった。

資料―2

資料―3
・その後、工場は昭和37年に田無市に移転、更に昭和61年、山梨県韮崎市に移転。
・本社は昭和56年に現在の千代田区岩本町3丁目に移転。
最初のコロスキンからは60数年、現処方で40数年が経っているが、いまだ消費者の満足を完全に得るまでには至っていない。使用時の皮膚刺激、溶剤の臭い等をはじめ幾つかの問題が提起されている。高分子のピロキシリンの溶解剤は限定されており、このままで刺激、臭いを除くことは難しく、被膜の素材から検討することが必要になってくる。また、被膜に関しては、物性試験(引っ張り強度試験、剥離試験など)により新素材の発掘と膜の性質を大学の研究室との協同で行ってきた。コロスキンの被膜の電子顕微鏡による1万倍を超える倍率での観察では、表面は極めて滑らかで細孔は観察されず、微生物(Tμm)が進入できないことが示された。今後は、新素材の研究、被膜の性格の把握を進めることで、小部位対象の「液状絆創膏」から、もっと広い別の適応をも模索していきたい。
 

 ホータイのいらない液状絆創膏 コロスキン(11ml)

<効能>   小切傷、すりきず、さかむけ、あかぎれ
<用法・用量>患部を清潔にし、傷部のみに適量を塗り、そのまま静かに乾燥させてく
ださい。(本剤は一瞬しみますが、1〜2分そのままにしてください。乾
燥すると刺激もなくなり、薄い被膜をつくり、傷口を保護します)

<成分・分量> 100g中   
ピロキシリン −− 15 .95g
d―カンフル −− .8g
ベンジルアルコール −− .0g
ヒマシ油 −− .0g
酢酸エチル −− 63 .55g
酢酸ブチル −− 10 .7g